家庭での関わり方

【自閉症×知的障がい】こだわりの「柔軟性」を育てる4つの方法:「成功体験」を積み重ねる、元看護師ママの実践

こだわりに毎日振り回されてしんどい…
どう関わればいいのか分からず、その場しのぎになってしまう。
対応してもすぐに癇癪になり、こちらまで疲れ果てている…そんな渦中にいるあなたへ。
私もその一人です。

今日も本当にお疲れさまです、あすかです。
元看護師・4歳の自閉症×知的障がい娘の当事者ママです。

この記事を読むと:

  • こだわりの「柔軟性」を育てる4つの方法がわかる
  • “どうすればいいの?”のストレスが軽くなる
  • “これならできそう”のヒントが見つかる

こだわりは「なくす」から「成功体験」の視点へ。
この視点を持つことで、お子さまの柔軟性が少しずつ育っていきます。

この記事では、
私が日々実践している4つの方法をご紹介します。
こだわりとの毎日は本当に大変ですが、
娘の変化を感じながら、日々なんとか乗り切っています☺️

小さな「成功体験」を積み重ねていくヒントとして、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

※こだわりの「なぜ」については、「たった一度がこだわりになるのはなぜ?」でお伝えしています。

※この記事の内容は、娘が「4歳0ヶ月」時点のものです。(娘の特性と当時の発達状況に基づいた内容になっています)


こだわりへの関わり方、その前提とは?

自閉症×知的障がいのお子さまのこだわりの背景にあるのは、
いつも「安心を求めるサイン」です。

“また始まった…💦”と絶望する瞬間こそ、深呼吸のタイミング。
その行動を“困った💦”ではなく、
“今、安心を探しているんだな❣️”
と一呼吸置いてわが子を見つめてみます。

そうすることで、
私たちの表情も声のトーンも自然とやわらかくなり、その空気の変化自体が、
お子さまにとって最初の安心材料になります。

目指すは、こだわりを「なくす」ではなく、
「状況に応じて、他の活動(アイテム)でも気持ちを落ち着かせる柔軟性」です。


4つの方法と柔軟性の関係とは?

1️⃣安心環境を整えることが、関わりの土台になります。
そのうえで、2️⃣見通しを届ける・3️⃣安全な代替を用意する、を意識します。
4️⃣一緒に喜ぶは、1️⃣〜3️⃣のどの成功体験にも、そのたびごとに重ねていく関わりです。

☝️これら4つの方法を意識して関わるほど、
お子さまは
「絶対これじゃなきゃダメ(こだわり)」から
「これじゃなくても(代替活動/アイテムでも・パパママ/先生の言うことに応じても)、
大丈夫だった。楽しかった。嬉しかった。できた。」——
の成功体験が積みやすくなります。

そしてその積み重ねが、柔軟性を育てていきます。

こだわりの「柔軟性」とは:
①お子さまの感覚/好みに合った代替活動(代替アイテム/安心アイテム)が使えるようになること
②人の言葉に応じ、自分の行動を調整できるようになること

💡成功体験 ⇄ 柔軟性は両輪の関係。
成功体験がその行動を強化(「またやりたい」を強める)
→ 柔軟性が高まる
→ さらなる成功体験への好循環


1️⃣安心環境を整える

目的:その日の感覚疲労やその場の刺激量を見ながら、高負荷にならない環境に整えることで、
お子さまの安心を守り、落ち着いて過ごせる成功体験を積み重ねる。

方法:

先行事象を確認する

お子さまのこだわりが発動しそうな「先行事象」——たとえば

  • 睡眠不足
  • 朝食がほとんど食べられていない
  • 今日はいつも以上に感覚が過敏 など

がないか考えます。

※先行事象がある日は、何かのきっかけで、こだわりが発動しやすくなります。
※先行事象があり、
さらにその場の刺激量も高負荷だと、
「今を生き延びるための必死の自己調整」
として、こだわり行動は強く出やすくなります。

その場の刺激量を調整する

その場の刺激量(人の多さ・音・光・活動の内容など)も合わせて調整し、
「今の本人にとっての安心環境」を意識します。

🍀娘の例:幼稚園の降園時
今日は落ち着かないことが多かった・いつもより不機嫌・眠そう・疲れている
などの様子があれば、
・「人が多い公園 → 静かな別の公園に変更」
・「帰りに一緒にスーパーへ → 後で私が一人で行く」
のように、環境を前もって調整していきます。

また、お子さまが、たとえば次のような時

  • いつもなら飛びつくおもちゃに反応しない
  • ぼんやりしている

「つまらないのかな?」と声かけや遊びに誘うと、
逆に感覚負荷が増えて、こだわり行動が強くなることもあります。
「今は充電タイムで、刺激を減らしてほしい」という無言のサインかもしれません。
このような時は、静かに見守ることも、安心環境の一つです。

🌸 親御さんの「してあげたい!」は尊い気持ちです。
でも、親の愛情=刺激の量ではありません。
安心環境を整えることで、
お子さまの「もてる力」は少しずつ姿を現していきます。

「人」の刺激量を調整する:パパ・ママの役割の違いを活かす

一緒にいる人によって、
お子さまの安心パターンは変わります。
それぞれの安心パターンを尊重し、
役割分担で支えることも、
「人」という刺激量をコントロールする一つの方法です。

🍀娘の例:娘にとっての、パパとママの役割分担
パパ:「挑戦役」(スーパー・遠出のお出かけ・遊具遊びの挑戦)
ママ:「安心役」(室内遊び・散歩・いつもの公園)

以前は「ママじゃないとダメ」だった娘が、
この役割分担を続ける中で、パパとの安心パターンも獲得。
結果、相対的に経験の幅が広がり、
成長の後押しになっていると感じています。

ご家庭によっては、逆の役割パターンもあるかもしれません。
家族みんなが笑顔で回る、これが一番ですね✨

そもそも刺激に触れさせない:引き金を取り除く

その場の刺激量を調整するだけでなく、
こだわりの引き金になっている「物や環境そのもの」を取り除いてしまうことも、有効な選択肢です。

🍀 娘の例:洗面所の蛇口の栓部分を撤去
気持ちが不安定になると、洗面所で栓をして水を流し続けることが続くため、
栓自体を外しました。すると「壊れてる(なくなってる)ね〜」と反応するものの、特にパニックになることもなく、そのまま水流しの頻度が減りました。
無理にやめさせたのではなく、選択肢そのものがなくなったことで、
こだわりの発動が明らかに減っています。
やはり、娘には「視界に入れない」が鉄板です。

こうした一つひとつの積み重ねが、
こだわりの柔軟性を少しずつ育てていきます。

💡ただし、刺激を遠ざけることと、経験の幅を広げることは、常に綱引きのような関係でもあります。
こだわりになることを懸念し、
先回りして刺激から遠ざけてしまうことは、
(新しい)経験の機会を減らしてしまう側面もあり、
それが辛いところでありジレンマです。
「これは今は避けた方がいい」
「はじめが肝心。回数を指定して(新しい)経験をさせてあげよう」
「この場所限定にしよう」——
こだわりになる可能性を常に念頭に置きながら、
経験のさせ方の設定を考えるようにしています。


2️⃣見通しを届ける

目的:見通しによって安心する(落ち着く)ことで、パニック回避や切り替えの成功体験を積み重ねる。

方法:

こだわり行動が発動する前に、
・先手で「次にすること」を伝え、お子さまの了承を得る

こだわり行動が発動したら、
・一旦、お子さまの気持ち・状況を受け入れる
・その上で、理由とセットで「切り替え」を提示する

  • 視覚支援(絵カード・生活動作ポスターなど):「次」の行動を示す
  • 聴覚支援(タイマー・アラームなど):「終わり」を予告する

その結果、本人が切り替えられたときは、
「できたね!」とハイタッチで一緒に喜びます。

どんなに小さな変化でも、
「このパターンでもいけた!」
の成功経験を積み重ねていくことで、
こだわりの柔軟性が少しずつ育っていきます。

🍀娘の例:自動ドアのタッチを自分で押すこだわり
本人の「抱っこ」の要求が来る前に、
先手で「ママが(自動ドアのタッチ)触るよ。いい?」と伝え、
本人の了承を得るというステップを踏む(見通しを届ける)ことで、
ママが押しても癇癪にならず「自分で押さなくても大丈夫だった」の経験を積んでいる最中です。
※2、3歳の頃は強いこだわりと理解力の乏しさで私の言葉は全く娘の耳に届かず…
「何が何でも絶対に自分で押さなきゃダメ」状態だったので、大変な思いをしていました。


3️⃣安全な代替を用意する

目的:お子さまの感覚を満たす代替活動/アイテムを使うことで、癇癪/パニックを防ぎながら切り替えられた成功体験を積み重ねる。

方法:

「機嫌が悪いな」「退屈そうだな」と感じたら(予防の視点)
高い確率でこだわり行動につながります。
そんな時は、先手でお子さまの感覚/好みに合った代替活動を取り入れてみます(下記、「代替活動一覧」参照)。

こだわりが発動したら
こだわりに付き合える時は、内容によっては付き合いますが、難しい場合は感覚刺激を取り入れます。
娘の場合、ダイナミックな動き(抱っこグルグルなどの前庭覚刺激)や、味覚(スイーツ・キウイ・いちごなど)が代替刺激になることが多いです。

こだわりが発動し、癇癪やパニックになり収拾がつかなくなったら(最終手段)
娘の場合、家の様々な刺激からリセットするため、
一旦外に連れ出してしまいます(散歩やドライブなど)。
環境そのものを変えてしまうのが、切り替えには効果的です。

※親の状況が許せば、「予防」の段階で、外に連れ出すこともあります。

切り替えが成立したら、すかさず「やったね!できたね!」「だっこグルグル」「パパにも見せよう!」——
一緒に喜ぶことで、代替活動/アイテムを使うことが強化され(「またやりたい!」を強め)、柔軟性が高まっていき、さらなる成功体験へとつながっていきます。

🍀 娘の例:先生への試し行動連発 → 砂時計
療育での集団のお集まり時、試し行動が連発する娘に対し、先生が別室で休憩の対応。
その際に砂時計を見せると、
「じーっ」と見つめて「スーッ」と瞬時に覚醒が下がり、
集団活動に戻れることがあるそうです。

🌸大事なのは「ダメ!」と取り上げるだけにしないこと。お子さまの「安心の好み」を見つけてみてください✨️ 参考までに、娘が取り入れている代替活動をシェアします。

代替活動一覧

代替刺激 具体的な代替活動 脳への効果
視覚刺激(動きがゆっくりで予測しやすいもの) 光る砂時計・砂時計・スノードーム・パズル・シールあそび ゆっくりとした変化を見ることで衝動のエネルギーが鎮まりやすい。パズルやシールは「完成・貼れた」という達成感も加わる
聴覚刺激 テンポの良い好みの音楽・タッチペン図鑑※ リズムが脳の運動系・感情系に働きかけ、行動の切り替えを促しやすい
固有覚刺激(体の奥で感じる圧力・力加減の感覚) 三輪車・バランスボール・抱きしめる・だっこ・細かいパーツ並べ・簡単な家事の手伝い 副交感神経を優位にしてセロトニン分泌を促し、落ち着きや集中力を高める。簡単な家事の手伝いは「役に立てた」という自己効力感も加わる
前庭覚刺激(傾きや回転を感じる感覚) でんぐり返し・トランポリン・だっこグルグル・おんぶ・肩車・公園のブランコ ※上記は固有覚と前庭覚の同時刺激 固有覚との組み合わせで体の緊張をほぐし、「落ち着けるモード」への切り替えスイッチになりやすい
味覚・報酬系 甘いおやつ・せんべい・いちごやキウイ 「少量のごほうび」として、動画以外の報酬源を増やせる

※タッチペン図鑑は聴覚だけでなく、
視覚(文字・絵を見る)+固有覚(ペンで押す動作)の複合刺激でもあります。

※固有覚・前庭覚の違いを具体的に知りたい方は、
前編の「【補足】感覚には、どんな種類がある?」をご覧ください。


4️⃣一緒に喜ぶ

目的:これら1️⃣〜3️⃣の成功体験を一緒に喜ぶ「快」の経験によって、「またやりたい!」の気持ちにつなげ、「人の言葉に応じる・調整する力:柔軟性」を育てていく。

方法:

成功体験をご褒美(ハイタッチ、ハグでギュッ、抱っこグルグル、シール貼りなど)とセットで一緒に喜ぶ。
ご褒美とセットにすることで、その行動が強化され(「またやりたい」の気持ちにつながり)、柔軟性が育ちやすくなる。

🍀 娘の例:様々な場面で出てくる、細かい手順のこだわり
例えば、ママが娘のために、朝食用の食パンをあらかじめお皿に準備しておいたり、「パンとご飯どっちが食べたい?」と聞いて「パン」と言われたので食パンを戸棚から出す、これらの行為は彼女には容易に癇癪のきっかけになります(こちらの親切はたいていの場合、単なるお節介になってしまいます💦)。
そんな時、彼女は「もう一度食パンを袋にしまい、戸棚にしまい、自分が『パン』と答えてから、ママに戸棚から取ってもらい、自分が袋から取り出す」のやり直しをします。

癇癪にならずに少しでも何か伝えられたら「泣かないで伝えられたね!イエーイ!」とその場でハイタッチで一緒に喜ぶ。
またある日はあえて、「ママが袋から食パンを取り出す」のように、一工程だけくずしてみます。それでも何とか切り替えられた時は、その瞬間に「ママが出しても大丈夫だったねーすごいねー!イエーイ!」とハイタッチで喜びます。

そんなことを日々繰り返していく中で、本人の自信と柔軟性を少しずつ育てている最中です。

このように、「人の言葉に応じる・調整する」力が育ってくると、
活動の幅がぐんと広がり、お子さまの成長の後押しになります。

💡娘の「イエーイ!」のハイタッチは、行動の「切り替え合図」としても機能しています。
例えば、お風呂上がりにドライヤーで髪を乾かし終えたタイミングで
「これでお風呂の時間を終わります。おーしーまいっ。イエーイ!」とハイタッチすると、
そのまま一人遊びへと切り替わります。


まとめ:4つの方法で「こだわりの柔軟性」を育てる

こだわりの柔軟性とは:
①お子さまの感覚/好みに合った代替活動(代替アイテム/安心アイテム)が使えるようになること
②人の言葉に応じ、自分の行動を調整できるようになること

4つの方法を、「成功体験」の視点でまとめます。

方法 柔軟性 成功体験
1️⃣安心環境を整える 刺激をコントロールする=土台になる ⇄「不安定にならず、落ち着いて過ごせた」
2️⃣見通しを届ける 見通しがついて安心する(落ち着く)=後押しになる ⇄「いつも通り(こだわり)じゃなくても、パパ・ママ/先生の言う通りにしても、大丈夫だった」
3️⃣安全な代替を用意する 代替活動/アイテムで落ち着く=選択肢が増える ⇄「いつも通り(こだわり)じゃなくても、代替活動/アイテムでも大丈夫だった」

💡4️⃣一緒に喜ぶは、1️⃣〜3️⃣のどの成功体験にも重ねる関わりです。
一緒に喜ぶ「快」の経験が、
「またやりたい!」の気持ちを強め、
柔軟性を育てていきます。

🌸成功体験 ⇄ 柔軟性は両輪の関係。
成功体験がその行動を強化(「またやりたい」を強める)
→ 柔軟性が高まる
→ さらなる成功体験への好循環


読んでくださったあなたへ

ここまで読んでくださり、
本当にありがとうございます。

こだわり…
きっと永遠のテーマなんだろうと思います(笑)

私自身、ある程度の軸はあっても、
毎日が試行錯誤の連続です。

子育ては本当に長期戦ですから⋯
「ぼちぼち」やっていきましょう☕

親子の優しい時間が、
毎日の中にそっと生まれますように🌈


ブログを書いている背景や想いはこちら
👉 あすかのプロフィール


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ABOUT ME
あすか
知的障がいを伴う自閉症の娘(4歳)を育てる、保健師・看護師の当事者ママです。 1歳9ヶ月から療育を開始し、これまでに8ヶ所の療育機関を経験。 幼稚園入園を機に、教育移住も経験しました。 そんな日々の中で、娘の行動に「脳の視点」を持つようになり、 しんどさの中に少しの余裕が生まれました。 このブログでは、 娘の実例をもとに、 「行動の意味」と「関わり方」を 分かりやすくお伝えしています。 親子の優しい時間が、 毎日の中にそっと生まれますように🌈