療育・成長の記録

自閉症の子供へのエビリファイ効果:元看護師ママが綴る、服用開始12日間のリアルな記録

自閉症のお子さまを育てていて、
「エビリファイって実際どうなの?」
と気になっている親御さんへ。

この記事では、
知的障がいを伴う自閉症の娘(3歳)を持つ母として、
また保健師・看護師としての視点から、
エビリファイを始めるまでの経緯・服用12日間の変化・副作用・医師の評価までをまとめています。

同じように悩む親御さんの、安心やヒントに少しでもなれば嬉しいです。


服用翌朝から変わった:具体的な5つの変化

翌朝から変化を感じました。

多動が落ち着いた
家の中を走り回ることが減り、穏やかに一人遊びをしている姿にびっくりしました。

指示が入りやすくなった
食事・着替えがスムーズに。
スーパーで「今日は買わないよ」がすんなり通り、思わず感動しました。

やりとりが増えた
「違う公園に行きたい」など、要求を落ち着いて言葉で伝えられる場面が出てきました。
一緒に遊べる時間が増え、自然と動画視聴時間も減りました。

睡眠が改善した
寝つきが良くなり、睡眠時間が延びました。
中途覚醒はありますが夜泣きはなく、昼寝をする日も出てきました。

食欲・活気は問題なし
日中の強い眠気も特になく、全体として元気に過ごせています。


幼稚園でも同じ印象でした。
「動き回らなくなった」「指示が入りやすくなった」「言葉が増えた」と先生方から。

服用後数日で「少しボーっとしているように見えた」という報告もありましたが、
「ほんの数秒で活動に支障が出るほどではない」とのことでした。


親としての変化も正直に。
こだわりや要求自体はそのままですが、その後の癇癪がマイルドになりました。
私もパパも、育児困難感が軽減しています。


「個性が消えた?」不安をどう乗り越えたか

内服翌朝、走り回らず静かに一人遊びをしている娘を見て、「別人のようだ」と感じました。

「元気いっぱいの娘がいなくなってしまったのでは」「個性が消えてしまったのでは」

という気持ちが出てきたのも正直なところです。

さらに幼稚園の先生から
「3歳で薬を飲んで大丈夫なのか」という声もあり、改めて心が揺らぎました。


そこで、かかりつけの薬剤師と医師の両方に率直に相談しました。

結果、
– 3歳での服用は問題ない
– 「子どもの良さが消えてしまうのでは」という不安は、多くの保護者が共通して感じること

と伝えられました。

娘のこだわりや要求の”中身”は変わっていない。
変わったのは、それを表現するときの状態だ。

そう再認識してから、「個性が失われたわけではない」と納得できました。


内服開始から10日ほどで、薬に体が慣れてきたのか、 トランポリンを元気いっぱいに飛ぶ、娘らしい姿が戻ってきました。


薬で消えなかったもの:正直に書く

いわゆる”不適切行動”がなくなったわけではありません。

注意を引きたいとき・思い通りにならないときの
「ドアをバタンと閉める」
「寝転んで足でドアや壁を蹴る」といった行動は今も続いています。

環境整備と関わり方の工夫は、引き続き必要です。

また「周りが気になって、今やっていることへの集中がすぐ途切れる」
という特性も健在です。
構造化や声かけの工夫など、集中しやすい環境づくりも今後も続きます。


副作用は?:3日間の便秘と、うれしい誤算

はっきりした副作用はありませんでした。

強いて挙げるなら、服用開始から3日間排便がなかったこと。
もともと便秘気味ですが、3日間まったく出ないのは珍しいパターンでした。

食欲については、偏食の範囲の中で食事量が増えました。
これは副作用というより、服薬面での助かる変化でした。

娘はヨーグルトかアイスに混ぜないと飲めないため、「食べない」と拒否されると服薬をあきらめざるを得ない場面が多くありました。
でも開始後はその場面が大きく減り、服薬のハードルも下がっています。


12日間の記録を持参して:医師から「とても良い傾向」

12日間、毎日記録をつけて診察に持参しました。
記録した内容:
日々の様子・行動・食事・排便(性状・回数)、睡眠(就寝時刻・起床時刻・昼寝時間・総睡眠時間・寝つき・中途覚醒・夜泣き)

幼稚園での変化を伝えると、医師からは

「頭に指示が入りやすくなった結果、外からの声かけを受け取って実行しやすくなっている」

との説明がありました。
言葉が増えている点も含め、「とても良い傾向」と評価されました。


今後の見通し:2か月後に再評価へ

用量は変わらず、エビリファイ散1% 0.05g(0.5mg/日)で継続。
2か月後に再評価し、必要であれば調整予定です。

「ボーっとして見える」点は引き続き経過観察。
便秘については、もともと他院で酸化マグネシウムを処方されていましたが、
エビリファイ開始と同時にモビコールへ切り替え、ピコスルファートも追加となりました。
引き続き、様子を見ながら排便コントロールをしていく予定です。


診察の中で、医師からこんな言葉がありました。

「私たちはどうしても、子どもがやっていることを”当たり前”と感じてしまい、褒めることを忘れがちになる。けれど、褒めることは薬以上に効果があることも多い」

この言葉が、とても印象に残っています。


なぜ服薬を選んだのか:3歳7か月、エビリファイを始めた理由

乳児期からこんな様子が気になっていました(一部)。

  • 不器用さ・ぎこちなさ
  • 共同注意・模倣がない
  • おもちゃをコマのように回す、とにかく投げる

1歳4か月で歩き始めると、多動とこだわりが本格化。
「停めてある自転車の鍵を全部触っていく」といった行動が続き、
1歳9か月から自閉スペクトラム症の疑いで民間療育に通い始めました。

2歳3か月からは母子同伴で幼稚園のプレへ。
周囲の声かけが入らず、自分が安心できるものをひたすら探し続ける状態でした。
(空気清浄機のボタン押し、カーテンの開け閉め、部屋から脱走して水道で水遊び…など)

それが外から見ると”多動”に映る状態で、
1時間半の活動中、ほぼずっと単独行動でした。
周囲の視線がつらくて、毎週行き渋っていたのは私の方でした。

娘が安心して過ごせる幼稚園を探して、自宅マンションを売却・引っ越しも経験。
現在の幼稚園ではマンツーマンで加配がつき、
娘は元気に通園、それなりに活動にも参加できています。
ただ先生方も、こだわりや注意集中の難しさへの対応に試行錯誤中とのことでした。

家では環境調整を徹底し、療育の内容や先生の関わり方も取り入れてきました。
それでも、こだわりと癇癪は次第に強くなり、奇声も増えていきました。

「こんなにずっとやり続けているのに……」
「娘は学ぶ機会さえ作れないまま大きくなっていくのだろうか」

そんな絶望感と不安が出てきた時期でした。

3歳5か月:自閉スペクトラム症・発達性協調運動症(DCD)・ADHD疑いの診断

3歳6か月:田中ビネーIQ42、中度知的障がいの診断

診断を聞いたとき、
ショックよりも「やっと出発点に立てた」
という晴れやかな気持ちの方が大きかったです。
それまで私の訴えや違和感が、なかなか届かない経験を重ねてきたからだと思います。

現在は幼稚園に加え、以下の支援を受けながら過ごしています。
– 児童発達支援事業所:マンツーマン療育(ABA)・小集団療育
– 児童発達支援センター:小集団療育
– クリニック:作業療法

知能検査の結果と日常の困りごとをふまえ、
医師から初めて「薬」という選択肢が出ました。

IQ42であること、注意集中の持続困難、興味による取り組みの波が顕著であること。
さらに「夏休み明けからこだわりが強くなっている」と伝えると、

「お母さん、やれることは全部やっているから……薬、使ってみない?」 「ずっと飲み続けなきゃいけないわけじゃないのよ」

と、エビリファイを勧められました。

心の準備はできていなかったし、一瞬戸惑いました。
ただ、もともと薬に否定的な気持ちはなく、
「本人がより生きやすくなるなら使う価値はある」という考えでした。

それ以上に「これ以上、何をすれば娘が生きやすくなるのか」
という気持ちが強く、 立ち止まる理由はありませんでした。

処方の説明書きを見ると、
「すぐに気分が変動する」「ドアをバタンと閉める」という項目がまさに今の娘で、
「この薬、合うかもしれない」と感じました。

エビリファイは、統合失調症・双極性障がい・自閉スペクトラム症(ASD)などに使われる非定型抗精神病薬で、小児にも適応があります。

ドパミンやセロトニンに作用し、
「興奮・癇癪・多動・不安」を和らげることを目的とした薬です。
強い癇癪や攻撃性の改善効果が報告されています。

ただし万能薬ではなく、
環境調整や療育・家族の支援など、
ほかの支援と組み合わせて使うのが基本です。

副作用として眠気や食欲増進などが報告されており、日々の観察が大切です。

項目内容
販売名エビリファイ散1%
開始時年齢3歳7か月
体重16kg
処方量0.05g(有効成分0.5mg)

※処方量・服用の判断は主治医との相談のもとで行っています。 この内容はあくまで娘の一例の記録です。


まとめ:12日間で見えてきたこと

エビリファイを始めて、まだ12日間。
それでも、薬を使ってみて良かったと率直に思っています。

環境調整や声かけだけでは届かなかった部分に、
薬が脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、娘の状態が変わった。

「身を守ること」に張りつめていたエネルギーが、
「学ぶこと」「人や世界とつながること」へ少しずつ回り始めた——

そんな感覚があります。

薬の選択も、環境調整や関わり方と切り離されたものではなく、
「どう安心して過ごせるか」という土台づくりの一部だと感じています。


これから小さな変化をひとつひとつ見つけては、
しっかり褒めて一緒に喜ぶことを大切にしていきたいと思います。

幼稚園や療育で参加できることが増えて、
「楽しい」と感じられる瞬間が広がっていきますように。
「できた」という成功体験を重ねながら、
自信とチャレンジする気持ちが育っていきますように。


娘のこと、これからも少しずつ書いていきます。 また読みにきてもらえたら嬉しいです。

親子の優しい時間が、毎日の中にそっと生まれますように🌈

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ABOUT ME
あすか
知的障がいを伴う自閉症の娘(4歳)を育てる、元看護師・当事者ママです。 1歳9ヶ月から療育を開始し、8ヶ所の療育機関を経験。娘の行動に「脳機能の視点」を持つようになってから、しんどさの中に少しの余裕が生まれました。 このブログでは、娘の実例をもとに「行動の意味と関わり方」を分かりやすくお伝えしています。 親子の優しい時間が、毎日の中にそっと生まれますように🌈