家庭での関わり方

【自閉症×知的障がい】悩むたび検索を卒業!:元看護師ママが伝える「4つの視点と関わりの軸」

「わが子の特性は分かったけれど、じゃあ具体的にどう関わればいいの?」
「また上手くいかなくて…この子を傷つけてしまったらどうしよう……」

前編を読んでくださった方や、
日々の子育てに行き詰まっている方の中に、
そんな不安はありませんか。

今日も本当にお疲れさまです、あすかです。
元看護師・4歳の自閉症×知的障がい娘の当事者ママです。

前編では「脳の視点」からお子さまの特性をお伝えしました。
この後編では、
「脳の4つの神経ネットワーク(①感覚処理 ②予測 ③抑制 ④社会脳)」の視点から、具体的な関わり方をお伝えします。

この記事を読むと:

「4つの視点に沿った関わりの軸」を知ることで、

  • どんな困りごとの場面でも、「次の一手」が出てくるようになる
  • 関わりを試行錯誤しながら、「わが子流」に整えていくことができる

泥臭い毎日の連続でも…
日々の「小さな」関わりの積み重ねが、
お子さまの脳に確かな安心と変化を届けてくれます。

できたときのハイタッチなど、
今すぐできる小さな一歩から、一緒に始めてみませんか?😊🌸

※この記事の内容は、娘が「4歳5ヶ月」時点のものです。(娘の特性と当時の発達状況に基づいた内容になっています)


ASD×IDの脳内、どうなってる?(前編おさらい)

後編の実践編に入る前に、
まずは「自閉症(ASD)×知的障がい(ID)のお子さまの脳内」を、
サクッとおさらいしておきましょう。

「激しく揺れている船」:ASDの特性(①感覚処理への支援)

脳に届く刺激の受け取り方が
「過敏(グラグラ揺れて怖い)」だったり
「鈍麻(刺激が足りなくて自分で揺らす)」だったりして、
常に足元が激しく揺れている状態です。
落ち着きがないのは、なんとか船のバランスを取ろうと必死にがんばっているサインです。

「脳の机の広さ」:IDの特性

一度に処理できる情報の置き場所(机の広さ)が狭い状態です。
言葉をたくさん掛けられたり、目に映る刺激が多いと、
すぐに机の上で大渋滞を起こし、処理が追いつかなくなってしまいます。

「目隠し状態」:ASDの特性×IDの影響(②予測への支援)

ASDの特性として、「見通しが立てにくい」ことがありますが、
IDの特性(脳の机が狭く、言葉の情報を処理しきれない)が
「次が分からない、終わりが分からない」状態をより深刻にしています。

例えるなら、
「目隠しをされたまま、激しく揺れる船に乗っている」ような状態なのです。

また「目隠し状態」が、「船の揺れ」をさらに激しくしてしまう大きな要因ともなっています。


だからこそ、後編の実践では、
「まずは脳の『狭い机の上』がいっぱいにならないよう『低刺激』な環境を整え・本人が受け取りやすい形で情報を届けていきつつ(②予測への支援)、
感覚のゆらぎにも寄り添い対応していく(①感覚処理への支援)」
という形になります。

▶ ASD・IDそれぞれの特性については、前編で詳しくお伝えしています。


なぜ「②予測への支援」が大事なの?

先ほどのおさらいの通り、
ASD×IDの場合は、
激しく揺れている船の様子は観察し整えつつも(①感覚処理)、
優先で取り組むのは「目隠しをできる限り薄くしてあげること(②予測)」です。

②で「理解と切り替え」を助けることで、
たとえ足元(①感覚)がまだ揺れていたとしても、
お子さまが「次の行動へ一歩」踏み出せる(③抑制)大きな一助となります。

そうして生まれた心の余白が、
小さな「できた!」の成功体験、自己肯定感・自己効力感、そして「またやりたい!」につながる、成長のループを生み出していくのです。


【②予測】どうやって整えるの?

IDが重なるお子さまは、
言葉だけでは脳の情報処理が追いつかないことが多いからこそ、
脳の仕組みに沿ったアプローチが必要です。

目的:まずは不要な刺激を取り除いたり、説明を端的にするなど、脳の机の上がノイズでいっぱいにならないよう整理する。その上で「次が分かる/終わりが分かる」ヒントを届けることで、見通しがつきやすくなり、活動に参加できる安心の土台を作る。

方法:

  • 不要な刺激を取り除く(集中しやすい環境の調整) ▼詳しくは後述
  • 説明は短く端的に(「〇〇します!」「おしまい!」など)
  • 動きながら説明しない(動く人を目で追いながら話を聞くのは脳に大きな負担。説明するときは、まず立ち止まる)
  • 視覚支援(静的・動的) ▼詳しくは後述
    • 静的視覚支援:絵カード、スケジュール、手順ポスター、生活動作ポスター、先生が作った完成見本など「動かない(固定された)」支援
      • 手順ポスター:トイレの手順のように、ひとつの活動の「細かいステップ」を伝えるもの
      • 生活動作ポスター:「朝起きてから家を出るまで」のように、生活全体の「一連の流れ・流れの中のひとコマ」を伝えるもの
    • 動的視覚支援:大人のジェスチャー(身振り手振りなどの合図)、大人やお友達の「実際の動き(お手本・ママの着替え・次に乗る場所をトントンと示すなど)」など「動きを伴う」支援

4歳の娘にはどれも欠かせない支援ですが、
中でも行動の切り替えに特に重要な「不要な刺激を取り除く(人・モノ・環境)」と「視覚支援(静的・動的)」の具体例を、次から詳しくお伝えします。

💡 不要な刺激を取り除く(人・モノ・環境)

目に映るたくさんの刺激に気持ちが奪われやすく、つい動き回ってしまうときは、
とにかく「低刺激」な環境を用意して、
脳の机の上をすっきりさせてあげることが大切です。
わが家では、娘の様子に合わせて「人・モノ・環境」の3つの視点から、
刺激をコントロールしています。

【人】の刺激を減らす

娘が起きてからトイレ、着替え、食事など、一連の生活動作をしている最中は、
同じ空間にいる大人をパパかママの「どちらか一人」に決めています。
複数の大人がいること自体が脳への刺激になり、
別の要求が飛び出したり、落ち着かなくなって癇癪(かんしゃく)の引き金になったりすることが多いからです。

【モノ】の刺激を減らす

娘の目に映るモノの量を物理的に最小限にしたり、手の届かない場所に移動するなど、部屋の環境を整えます。
おもちゃの部屋に関しては、娘が遊ばなくなる時、2つの共通点がありました。
それは「部屋が片付いていない時」と「おもちゃが多すぎる時」です(たくさん出ていると、かえってどのおもちゃでも遊べなくなるのです)。

そこで、我が家では以下のような工夫をしています。

  • おもちゃは並べすぎず、思い切ってよく遊ぶものだけに間引く。
    遊ばなくなってきたら、その都度選定し直し、入れ替える。
  • 娘の遊ぶ動線や目線を見ながら、おもちゃの配置を変える。

こうして空間を整えるだけで、分かりやすくその直後から遊び始めるのです。(とてもやりがいがあるので、環境調整はやめられません。笑)

【環境】の刺激を減らす

着替えはあえて物の少ない玄関で行い、夕食は現在、車の中でパパと食べてもらっています。生活動作の視覚支援も合わせて使ったりしながら、おもちゃや冷蔵庫などの誘惑(ノイズ)が多いリビングで着替えたり食べたりするよりも、ずっとスムーズな行動につながっています。


「着替えや食事はリビングでするべき」という当たり前の感覚を一度手放し、
脳が情報処理しやすいシンプルな「人・モノ・空間」に整えてあげる。
親子で毎日を少しでも穏やかに過ごすために、重要なポイントとなっています。


💡 視覚支援

「〇〇してね」と次の行動を言葉だけで伝えても、娘はなかなか動けません。
それどころか、私が2回3回と声をかければかけるほど言葉の情報が溢れて、脳の処理が追いつかず、かえって落ち着かなくなってしまうのです。

だからこそ、娘には「見て分かる」支援が欠かせません。
幼稚園や療育だけでなく、家庭でも「静的・動的」2つの視覚支援を取り入れています。

・静的視覚支援(動かない支援)

「生活動作ポスター(「上」から順に、絵で次の行動を確認できるタイプ)」を見せるだけで、パッと注目でき、切り替えスイッチが入ることがあります。
「次に何をしたら良いか」が、視覚を通してスッと脳に入ってくるようです。

「手順ポスター」はトイレで使っていますが、貼った直後(4歳4ヶ月)からトイレの一連動作に主体性が見られるようになり、翌日に排尿に成功しました。
やはり「(手順が)見える」だけで安心するのだと実感しました。

・動的視覚支援(動きを伴う支援)

そして実は、家の中や日々の活動の中には、
ポスターなどの「動かない支援(静的)」よりも、
大人やお友達の「リアルな動き(動的)」を見せた方が、切り替えや参加が促進される場合もあります。

例1

療育のサーキット遊びで、無造作に置かれた「バランスストーン(床に置いた石のようなブロック)」の上をぽんぽんと渡っていくときのこと。

先生が「次に足を置くストーンの上をトントン」と軽くたたいて(動的支援で)示してあげると、娘はその通りに足を動かすことができます。

それがないと、スムーズに足を動かせず、バランスを崩して落ちてしまうのです。
娘の脳は「次はどこに足を置こう?」の処理だけでいっぱいになってしまうのでしょう。

でも、「次」の判断を動的視覚支援でパッと見せてあげるだけで、
「できない」が「できる」に変わるのです。
「トントン」の支援の大きさを痛感した出来事でした。

例2

朝の進まない娘の身支度。

生活動作ポスターの効きが悪く、声かけも通らない日は、娘のことはさておき自分の支度を進めます。

私がパジャマから洋服に着替えている「リアルな動作」を見せることで、
それを見た娘の脳内で「あ、ママが着替えた!お散歩に行けるんだ!行きたい!」
というワクワクする動機(情緒)と一緒に、
主体的な身支度スイッチが入ることがあります(散歩以上に強い動機がある時は、スイッチが入らないことも当然あります)。

ポスターを指差して「次は何かな?〇〇だね」とこちらからアプローチしなくても、
動いている私の姿を自分から自然と注目し、
主体的に切り替えてくれるときは、
私の負担もだいぶ軽くなります。

私自身が、娘にとっての「動く(動的)視覚支援」になっているのです。


💭 視覚支援が届くために重要な「情緒」

娘の場合、しばらくは「静的支援」を受け取ることは難しく、「動的支援」中心の生活でした。

「動的支援」は「大好きな(信頼できる)相手」であれば、一定効果はありますが、その逆もしかりなので「人依存」であったり、大好きな相手であっても「その日はもっと優先順位の高いことがあってスイッチが入らない」というような本人の「動機(モチベーション)依存」でもありました。

また、本人の情緒が落ち着いていなければ、先に進めることが難しい。

このような理由から、動的支援にも限界を感じ、
4歳4ヵ月から「生活動作と手順」の静的支援を開始しました。

やってみて分かったことは、
静的支援も情緒(心の安定)にものすごく影響される、ということです。
まず、睡眠不足だと目に見えて朝から崩れていることが多いです。
それ以外にも体調や感覚のしんどさ、要求を言葉にできないなど諸々あるでしょう。

視覚支援自体が情緒を安定させる効果がある一方で、
いったん不安定になると、今度は動的も静的も入りづらくなる傾向があります。

だからこそ、視覚支援以前に「情緒(安心)」という視点も大切にしています。

何が不安定にさせているのかな?と考えながら、
気持ちに寄り添い代弁してみたり、抱っこグルグルしてみたり、ひとつ要求を叶えてあげたり…と泥臭く試行錯誤しながら、心の波をそっと落ち着かせてあげる(実際とても難しい日もありますが…)ことで、その後の流れが変わってくることも多いです。

【 情緒(安心) ➔ 認知(見て理解する) ➔ 動作(動く) 】

切り替えに黄金ルールがあれば良いのですが、現実はそうもいかず…
娘の「成長による変化」と「その日の状態・状況」の両方を考慮しつつ、
実際は日々「目の前の娘」に合わせて関わりを整えていく、といった感じです。
正直、心からしんどくなる日もありますが、だからこそ、「特性の理解」と「そこからつながる対応の切り札」をいくつか持っておくことが、
まずは朝を乗り切るために(苦笑)大切なことかと思っています。

そして、全般として視覚支援の通りやすさを促進させる大きな鍵のひとつが、
小さな「できた!」の成功体験を一緒に喜び合う積み重ね、だと実感しています。

つまり、①感覚処理②予測③抑制④社会脳は、互いに連動しているのです。


【①感覚処理】どうやって整えるの?

感覚の特性は、
「触覚は過敏だけど、前庭覚は鈍麻」「昨日は平気だったけど、今日は過敏」
という風に、感覚の種類やその日の体調、状況によって、まるで「ゆらぐ波」のように複雑に移り変わります。
お子さまのその時の様子に合わせて、刺激の「引き算」と「足し算」を優しく使い分けていきましょう。

目的:感覚の「過敏」による脳の興奮をなだめ、「鈍麻」による刺激の欲求を満たすことで、足元の「激しく揺れる船」をできる限り穏やかにコントロールする。

方法:

過敏:刺激の【引き算】
(脳の興奮をなだめ、覚醒を下げる関わり)

お子さまが「過度な興奮状態にある時」や、「刺激を嫌がっている時」に、脳を穏やかにしていくアプローチです。

  • 不快な刺激を取り除く
  • 周りの刺激を遮断する(クールダウンスペースに移動する、仕切りを立てるなど)
  • 動きながら説明しない(動く人を目で追いながら話を聞くのは難しい。説明するときは立ち止まる)
  • リラックスグッズ(センサリーボトル、ビーズクッションなど) など
    • 娘は興奮状態のとき、センサリーボトル(一定のリズムでオイルが落ちる)を見る、ビーズクッションに深く体をあずけることで、覚醒がスーッと落ちることがあります。

※活動におけるポイント

  • 無理にがんばらせない:
    まずは「嫌いにさせない」ことが大事です。「慣れさせよう」と負荷をかけすぎると、その感覚自体が恐怖になってしまうこともあります。
  • 自分で刺激のコントロールができるような活動から取り組む:
    例えばスライムの触覚が苦手なら、まずはスプーンでつついてみる、手袋をはめて触ってみるなど、自分で「これなら大丈夫」と思える境界線からスタートします。
  • いやになった時に「適切に回避」する方法を見つける:
    「すぐ手拭きで拭ける」「すぐに手洗いできる」などの選択肢があるだけで、安心につながり、活動に参加しやすくなります。
  • 目的や意味を伝えて、見通しや予測ができるようにする

鈍麻:刺激の【足し算】
(感覚を満たして、脳を落ち着かせる関わり)

お子さまが「刺激を求めてソワソワ・モゾモゾしている、体を自ら激しく揺らしている」といった、脳の退屈やエネルギーの余りを埋めるために、適切な代替活動でその感覚をたっぷりと満たして落ち着かせるアプローチです。

  • 感覚刺激グッズを活用する。
    バランスクッション、足裏グッズなど。

    • バランスクッション:座ると適度にグラグラして、座るだけでバランス感覚が満たされて落ち着く
    • 足裏グッズ:人工芝やトゲトゲのマットなど。足の裏から「今、自分がここに立っているよ」という刺激を脳にしっかり届けることで、体の感覚が落ち着いてソワソワ感が和らぐ
  • お子さまが求めている刺激を十分に満たす。
    娘の場合、家では頭を振ったり、ぴょんぴょん跳ねていることも多いです。
    これは前庭覚・固有覚を自分で補おうとする「自己刺激」です。
    「落ち着きがない」ではなく「感覚を整えようとしている」。
    自分の身体に必要な感覚は、お子さまが一番分かっています。
  • 一日の中に、バランスよく刺激を取り込む。
    娘の場合、朝・昼・夜と1日3回感覚遊びを取り入れる日もあります。
    あらかじめスケジュールの中に感覚刺激を先回りして入れておくと、脳が満足し、
    その後の行動がびっくりするほど落ち着いたり、スムーズな切り替えに繋がったりします。
  • 感覚(前庭覚・固有覚など)を使った遊びを取り入れる。
    娘が大好きな刺激は、回転や揺れを感じる「前庭覚」がフル稼働するグルグル遊びです。
    対応する大人はものすごく疲れますが(笑)、
    娘の情緒の安定と成長に直結している大切な時間と捉え、
    なるべく要求に応えるようにしています。

    • 具体的に「どんな遊びやグッズを使っているか」を下記、一覧表にまとめました。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

娘の実例:感覚別「代替活動」一覧

代替刺激 具体的な代替活動 脳への効果
視覚刺激(動きがゆっくりで予測しやすいもの) 光る砂時計・スノードーム・パズル・シールあそび ゆっくりとした変化を見ることで衝動のエネルギーが鎮まりやすい。パズルやシールは「完成・貼れた」という達成感も加わる
聴覚刺激 テンポの良い好みの音楽・タッチペン図鑑 リズムが脳の運動系・感情系に働きかけ、行動の切り替えを促しやすい
固有覚刺激(体の奥で感じる圧力・力加減の感覚) 三輪車・バランスボール・抱きしめる・だっこ・細かいパーツ並べ・簡単な家事の手伝い 副交感神経を優位にしてセロトニン分泌を促し、落ち着きや集中力を高める。簡単な家事の手伝いは「役に立てた」という自己効力感も加わる
前庭覚刺激(傾きや回転を感じる感覚) でんぐり返し・トランポリン・だっこグルグル・おんぶ・肩車・公園のブランコ 固有覚との組み合わせで体の緊張をほぐし、「落ち着けるモード」への切り替えスイッチになりやすい
味覚・報酬系 甘いおやつ・せんべい・いちごやキウイ 「少量のごほうび」として、動画以外の報酬源を増やせる

※タッチペン図鑑は聴覚だけでなく、視覚(文字・絵を見る)+固有覚(ペンで押す動作)の複合刺激でもあります。

※固有覚・前庭覚の違いを具体的に知りたい方は、前編の「【補足】感覚には、どんな種類がある?」をご覧ください。


【③抑制】なぜ「成功体験」につながるの?

目的:②(目隠し)が薄くなり①(激しい船の揺れ)が穏やかになり、脳の机の上にゆとりができることで、「やめる・切り替える」のブレーキ(抑制)が、効きやすくなってくる。

方法:短く、はっきりした肯定的な言葉(例:「行かない、残念!」「やりません!」など)

②予測と①感覚処理がある程度整っていると、お子さまは「今はできない」「次はない(おしまい)」などという状況を「受け止める余力」を持ちやすくなります。

その状態で「短く明確な」言葉を入れると、
情報量が少ないぶん脳が処理しやすく、抑制の切り替えが起こりやすくなります。

娘の場合、「行かない!残念!」という短く明確な言葉が効果的です。
これは強い言い方だからではなく、
前段で②予測と①感覚処理の視点があるからこそ、その一言が「制止」として届くのです。

言葉は短く、はっきりと。

IDが重なるお子さまほど、
情報量を絞ることで、抑制にもつながります。
そのことで、無理なブレーキではなく、
「成功体験」が積みやすくなるのです。


【④社会脳】なぜ「成長サイクル」が生まれるの?

目的:切り替えや我慢の「嫌な思い出」の上から、「できた!嬉しい!またやれそう!」というポジティブな成功体験を新しく重ねていく。

方法:ハイタッチ、ハグでギュッ、抱っこグルグル、(大好きな)シール貼りなど

大好きな親御さんや先生と一緒に「できた!」を全力で共有して喜ぶ(=社会脳を使う)経験を積んでいくことで、
お子さまの脳は「パパやママ、先生が笑ってる!ボクも(ワタシも)なんだか楽しいな!」という心地よい安心感で満たされます。

すると、切り替えそのものが「嫌なこと」という古い記憶に縛られなくなり、
「できた!嬉しい!またやれそう!」という成功体験のポジティブな回路が、
脳の中にどんどん育っていくのです。

また、ハイタッチやハグなどのスキンシップは、
お子さまの身体に必要な感覚刺激の入力にもなるため、「情緒の安定」にもつながります。

このように、喜びを共有する「笑顔の瞬間」をたくさん貯金していくことが、
お子さまの自己肯定感や自己効力感を育み、
次の「やってみよう!」へと繋がる成長のループを作っていきます。


まとめ:「わが子流」に整える4つの関わり

後編では、自閉症(ASD)× 知的障がい(ID)のお子さまへの具体的な関わり方を、
脳の4つの神経ネットワーク(①感覚処理 ②予測 ③抑制 ④社会脳 ※詳細は前編で言及)に沿ってお伝えしました。

この「4つの関わり」は、
それぞれが独立したバラバラの方法ではなく、
互いのネットワークが連動し合いながら、使うほどに一緒に育っていく関係にあります。

つまり、②予測の支援で情報を届けやすくしながら、①感覚の揺れにもやさしく寄り添うこと。特別な順番があるわけではありませんが、この2つを意識するだけで、③④の関わりも自然と行いやすくなっていきます。

1️⃣「次が分かる/終わりが分かる」を届ける(②予測への支援)
(人・モノ・環境の)不要な刺激を取り除き、脳の机の上をいっぱいにさせない。
その上で、(静的・動的)視覚支援や短くハッキリした言葉などで、本人の脳に「次/終わり」を届ける。

2️⃣船のようにゆらぐ「感覚の波」に寄り添う(①感覚処理への支援)
刺激の「足し算」・「引き算」どちらをすべきか、今の状況を観察しながら考え関わる。

3️⃣短くハッキリした言葉で、ブレーキを後押しする(③抑制への支援)
②と①で安心の土台が整うと、脳に抑制(ブレーキ/切り替え)の余力が生まれる。
そこに短い言葉を入れることでスムーズな切り替えを助けたり、その先にある「できた!」の成功体験の入口を作る。

4️⃣みんなで「笑顔の瞬間」を共有する(④社会脳への支援)
切り替えやその先の活動に参加できた時は、親御さんや先生と全力で喜び合う。
この「できた・嬉しい・またやれそう!」という心地よさが、自己肯定感・自己効力感を育み、成長のループを生み出す。


読んでくださったあなたへ

目の前のお子さまの状態を、
「4つの視点」で観察してみてください。
きっと、「次の一手」が出てくるはずです🌸

子育ては日々が試行錯誤の連続ですから……
「(今日の)わが子の正解」をのんびり探していきましょう☕

親子の優しい時間が、
毎日の中にそっと生まれますように🌈


ブログを書いている背景や想いはこちら
👉 あすかのプロフィール

📚 あわせて読みたい

ABOUT ME
あすか
知的障がいを伴う自閉症の娘(4歳)を育てる、元看護師・当事者ママです。 1歳9ヶ月から療育を開始し、8ヶ所の療育機関を経験。娘の行動に「脳機能の視点」を持つようになってから、しんどさの中に少しの余裕が生まれました。 このブログでは、娘の実例をもとに「行動の意味と関わり方」を分かりやすくお伝えしています。 親子の優しい時間が、毎日の中にそっと生まれますように🌈