※この記事の内容は、娘が「4歳2ヶ月」時点のものです。
はじめに
「どう関わればいいか分からない」
「同じ対応でも、効く日と効かない日がある」
「頑張っているのに、なぜかうまくいかない」
そう感じることはありませんか。
この記事では、自閉症×知的障がいのお子さまへの関わり方の「軸」をお伝えします。
個別の行動に悩む度に調べるのではなく、
この軸を持つことで、
どんな場面でも「自分で試行錯誤できるようになる」ことを目指しています。
※この記事は、お子さまの行動の背景にある「4つの脳機能」をお伝えした記事(前編)の続きです。
まだお読みでない方は、先にこちらお読みいただくと、より腑に落ちる内容になっています。
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こんにちは、あすかです。
私には知的障がいを伴う自閉症の娘(4歳)がいます。
保健師・看護師として学んだ知識・娘の数々の療育・母としての経験を重ねる中で、
「どの行動も、どの関わりも、結局ここに戻ってくる」という軸にたどり着きました。
この記事では、その「軸」を順番にお伝えしていきます。
大事になる関わりとは?
ASD×IDが重なるお子さまへの関わりで、
まず念頭に置きたいことが2つあります。
ひとつは「順番支援」の視点。
感覚処理→予測→抑制→社会脳の順番で整えていく関わりです(詳しくは後述)。
もうひとつは「処理のゆっくりさ」への配慮です。
IDが重なることで、情報を処理するスピードと量が全体的にゆっくりです。
言葉の数を減らす、視覚的に見せる、刺激を排除するなど、お子さまの脳に合ったスピードと方法で関わることが、そのまま「届く関わり」になります。
そして、どちらの視点にも共通する土台が
「安心できる環境を整えること」です。
安心がお子さまにもたらすものは2つあります。
- 4つのネットワークが働きやすくなる→本人の力が発揮されやすくなる
- 4つのネットワークが太く、安定していく→成長していく
「どう行動させるか」より前に「どう安心して過ごせるか」。
これが関わりの出発点です。
なお、関わりの視点と並行して、栄養・睡眠・療育・薬物療法なども大切な柱です。
▶ 薬物療法についてはこちら
自閉症児のエビリファイ服用12日間のリアルな効果:
元看護師ママが綴る、安心と成長を後押しする選択
順番支援の具体的な方法
① 感覚処理ネットワーク:感覚処理を整える
- 目的:安心基盤を作る。
- 方法:不要な刺激(視覚・聴覚など)を取り除く、動きながら説明しない(動く人を目で追いながら話を聞くのは難しい。説明するときは立ち止まる)、感覚(触覚・前庭覚・固有覚)を使った遊び、感覚刺激グッズ(バランスクッション、足裏グッズなど)。
ASDのお子さまは感覚の受け取り方に「ゆらぎ」があり、その日・状況によって過敏になったり鈍くなったりします(詳しくは前編の記事をご覧ください)。
娘の場合、家では頭を振ったり、ぴょんぴょん跳ねていることも多いです。
これは前庭覚・固有覚を自分で補おうとする「自己刺激」です。
「落ち着きがない」ではなく「感覚を整えようとしている」
そう捉えると、見方が変わります。
自分の身体に必要な感覚は、お子さまが一番分かっています。
●感覚が感じにくいお子さまへの関わり方のポイント
- お子さまが求めている刺激を十分に満たす。
娘が大好きな刺激は、前庭覚フル稼働のグルグル遊びです。
対応する私はとても疲れますが、娘の情緒の安定と成長につながることと捉え、
なるべく要求に応えてあげたいとは思っています。 - 一日の中に、バランスよく刺激を取り込む。
娘の場合、朝・昼・夜と1日3回取り込む日もあります。
感覚刺激を入れた後は、落ち着いたり、切り替えしやすくなることも多いです。
●感覚が感じやすいお子さまへの関わり方のポイント
- 無理にがんばらせない。※嫌いにさせないことが大切です。
- 自分で刺激のコントロールができるような活動から取り組む。
例:スライムなら、素手で触る前にスプーンや手袋を使うなど。 - 目的や意味を伝えて、見通しや予測ができるようにする。
- いやになった時に適切に回避する方法を見つける。
例:すぐに手拭きで拭ける、手洗いできるなど。
② 予測ネットワーク:見通しを共有する
- 目的:「次が分かる」「終わりが分かる」ことで気持ちが落ち着く、集中できる。
- 方法:口頭で伝える・視覚的に見本を示す・スケジュールボードを使う・動きながら説明しない・説明は短く端的に・共同決定など。
IDが重なるお子さまは、
- 言葉は短く端的に(〇〇します!など)
- 言葉だけでは処理が追いつかないことが多いので、「見て分かる」形にする
が大事です。見通しがつきやすくなり、参加できることが増えます。
③ 抑制ネットワーク:「できた!」の成功体験を積む
- 目的:①②が整うと、「やめる・切り替える」が効きやすくなる。
- 方法:短くはっきりした言葉(行かない!残念!など)。
※①感覚処理と②予測がある程度整っていると、
子どもたちは「今はできない」「次はない(おしまい)」などという状況を
「受け止める余力」を持ちやすくなります。
その状態で「短く明確な」言葉を入れると、
情報量が少ないぶん脳が処理しやすく、抑制の切り替えが起こりやすくなります。
つまり、①②が整った状態では「やめる・切り替える」が機能しやすくなります。
この順番が大切です。
娘の場合、「行かない!残念!」という短く明確な言葉が効果的です。
これは強い言い方だからではなく、
前段で感覚と見通しがある程度整っているから、その一言が「制止」として届くのです。
言葉は短く、はっきりと。
IDが重なるお子さまほど、
情報量を絞ることが「届く関わり」になります。
④ 社会脳ネットワーク:「できたね!やったー!」の共有喜びで締める
- 目的:切り替えそのものが”いやなこと”ではなく、”できた・うれしい・またやれそう”という経験として脳に残っていく。
- 方法:抱っこグルグル・ハイタッチ・ハグでギュッ・シール貼りなど。
これらの刺激(前庭覚・固有覚・視覚刺激)によって、情緒の安定や切り替えにもつながるので、一石二鳥です。
▶ 具体的な関わり方の工夫はこちら
・自閉症児のスマホ依存・動画のこだわり:
環境調整とスモールステップで整える、当事者ママの切実な工夫【関わり方】
・自閉症児のこだわりを”生かす”5つの戦略:
小さな成功体験を育む、当事者ママの切実な工夫【関わり方】
順番支援の実践で、成長サイクルの体感を
🍀順番支援とは、お子さまが4つの神経ネットワークを使っていく経験です。
4つの神経ネットワークは、よく使う経路ほど太く・安定していきます=成長していきます。
ASD×IDの子どもたちは、
分からなさや感覚のゆらぎから不安が高まりやすいからこそ、
「どう行動させるか」より前に
「どう安心して過ごせるか」を出発点にすることが大切です。
安心して過ごせることで、脳は
「身を守ること」に張りつめていたエネルギーを
「学ぶこと・人や世界とのつながりを広げること」
に回しやすくなります。
お子さまの持てる力を発揮し、成長への力強い後押しになります。
つまり、順番支援の軸は、
「神経ネットワークと情報処理の土台を整え育てていく」
いちばんの近道になると実感しています。
🍀予測・抑制・社会脳を司る前頭葉は、
10代にピークを迎えながら、20代まで成長し続けます。
お子さまの「好き・楽しい」の感覚を大切に
ASDとIDが重なり、
感覚処理にゆらぎがあり、
理解のスピードや量も全体的にゆっくりでも、
その中に「好き」「安心できる」「続けられる」感覚や活動が見つかれば、
そこがその子にとっての強みの回路になりえます。
“好きこそ物の上手なれ”です。
その「強みの回路」を入口にすると、
言葉・社会性・学習など、他の力も一緒に引き上げていきやすくなります。
強みの回路は、関わりの「入口」であり、お子さまの自信の「源」になります。
まずは「好き」「続けられる」を大切にしてあげてください。
おわりに
この記事が、日々の関わりを考える、ひとつのきっかけになれば嬉しいです。
特性の理解については、前編でお伝えしています。
【自閉症×知的障がい】(前編)行動の見方が変わる:
元看護師ママが伝える「4つの脳機能」の視点と希望
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