家庭での関わり方

自閉症×知的障がい児のパニックを予防する4つのポイント:元看護師ママが実践する「先手」の関わり方

※この記事の内容は、娘が「4歳1ヶ月」時点のものです。
(娘の特性と当時の発達状況に基づいた内容になっています)

はじめに

パパの前では穏やか。
外でもふつうに過ごせる。
でも私の前では、すぐに爆発する。

「どうして私にだけ?」
そう感じているなら、あなたは決してひとりではありません。

こんにちは、あすかです。
元看護師で、知的障がいを伴う自閉症の娘を育てています。

今まさに渦中にいる私の、ある1日の記録です。

  • 遊び相手をするとき、言葉・声のトーン・表情・タイミングまで指定される
  • そこから少しでも外れると、鳴り止まない癇癪
  • 「座って」の要求は一分一秒も途切れない
  • 笑顔を作ろうとするが、自分でも引きつっていると分かる
  • だから、あえて「真顔」を選んで、今この瞬間をやり過ごす

それが私にできる、精一杯の愛の防波堤でした。

この記事でお伝えすること

「先手」でパニックを予防するための4つのポイントをまとめました。
元看護師として学んだ脳と感覚の知識と、娘との4年間の実践から生まれた内容です。

魔法の方法はありません。
でも、何かひとつでも、あなたの助けになれば嬉しいです。

「先手」でパニックを予防する4つのポイント

① 情報過多のパニックを整理するには?―「口頭リスト」という方法

なぜパニック中に説明しても伝わらないのか?

知的障がいを伴う自閉症のお子さまは、情報処理に膨大なエネルギーを使っています。
パニックの渦中や、疲れているときは特に、長い説明は「雑音」にしかなりません。

解決策:「数字と名詞」だけで伝える

ある日の帰宅後、玄関に入った瞬間に娘が叫び始めました。

「自転車行くー!!」

私は落ち着いて説明しました。

「これから〇〇(療育)に行くよ」
「終わったら自転車行こうね」

でも、叫び続けます。

そこで言葉を捨て、娘の目を見て、こう言いました。

「①〇〇、②自転車」

それだけです。
すると、叫びが静まり、切り替えにつながりました。

混乱した脳内のデスクトップが、一瞬で整理されたような感覚でした。

ポイント:情報は削ぎ落とす。文章より、番号と名詞。

② 「待っててね」が魔法の言葉になるのはなぜ?―信頼の積み重ねという答え

一般的に言われていること

自閉症のお子さまに「待っててね」は伝わりにくい、と言われます。
先の見通しが立たず、不安を煽るからです。

でも、娘には通じます

それは1歳の頃から積み上げてきた「信頼の貯金」があるからだと思っています。

私が1歳の頃から続けてきた伝え方はこうです。

  1. 受容:「〇〇がやりたいんだね」と気持ちを受け止める
  2. 事実:「でも今はできないんだ。ごめんね」と伝える
  3. 見通し:「△△が終わったらやろうね」と約束する
  4. 結び:「待っててねっ」と声をかける

そして最も大切なのは、必ず約束を守ること

待たせたあとは必ず、
「お待たせ〜!待っててくれてありがとう。助かったよっ」
と目を見て、笑顔で伝えます。

「ママは約束を破らない」
「待てば、良いことが起きる」

その安心感と成功体験の積み重ねが、
娘の中に「待つ」という力を育ててくれました。

「行ったら楽しいよ〜」も同じ仕組みです

2歳の頃から使い続けているこの言葉も、
今では娘の「不安の霧を晴らすスイッチ」になっています。

最近では、娘が自ら「行ったら楽しいよ〜」
と口にして、自分を励ます姿も見られます。
積み重ねてきた時間は、決して無駄ではなかった、と感じる瞬間です。

ポイント:「魔法の言葉」は、信頼があってこそ機能する。

③ 予告は早ければ早いほどよいのか?―「不安の監禁」にならない伝え方

定石とされていること

知的障がいを伴う自閉症のお子さまには
「早めに予告して見通しを立てる」ことが一般的です。

でも、私はあえて「伝えるタイミングを選ぶ」ようにしています

なぜなら、娘にとって「早すぎる予告」は、
残酷な「不安の監禁」になることがあるからです。

たとえば、前夜から歯医者のことを伝えたとします。
娘が不安で眠れなくなり、翌朝から多動やこだわりが強まったら?
それは「見通し」ではなく、「苦しい時間を長引かせること」になってしまいます。

「どう行動させるか」より前に、「どう安心して過ごせるか」を整える。

段階的な予告の広げ方

娘の自信の程度に合わせて、少しずつ「見通しの距離」を伸ばしています。

  • ステップ1:家を出る直前に伝える
  • ステップ2:慣れたら「その日の朝」と「直前」の2回
  • ステップ3:さらに自信がついたら「前夜」「翌朝」「直前」の3回

※伝える瞬間の機嫌の考慮も大切です。
タイミングを誤ると、その場で崩れることがあります。

ポイント:見通しは「早く」より「安心できる距離から」。

④ 視覚支援が「納得感」と「発語」を引き出すのはなぜ?―自分で「貼り直す」スケジュールボードの力

わが家では、100均のボードとマグネット付き絵カードを使っています。
フリー素材を印刷して手作りしたものです。

娘は毎朝、私が貼った「今日の予定」の絵カードを、自分で貼り直します。

「今日は幼稚園に行って、〇〇(療育)に行きます」

そう言いながらカードを貼る。

この「自分で貼る」という動作には、2つの効果がありました。

1. 納得感:自分の手で貼ることで、「今日はこれなんだ」と自分のものとして受け入れられる

2. 発語の促進:「貼る」という物理的な動作が、言葉の表出を引き出すスイッチになっている

「用意されたものを見る」のではなく、「自分の手で確かめる」。
その小さな達成感の積み重ねが、心の安定と言葉を育む土台になっています。

ポイント:「自分で確かめた」という感覚が、安心と発語を引き出す。

まとめ:4つのポイントを振り返る

ポイント 核心
① 口頭リスト 情報を削ぎ落とす。番号と名詞だけ
② 安心言葉 信頼の積み重ねが言葉を魔法にする
③ 予告のタイミングの配慮 安心できる距離から、少しずつ
④ 自分で「貼り直す」スケジュールボード 「自分で確かめた」が安心と発語を育てる

これらをやったからといって、現実はすぐには変わらないかもしれません。

でも、真顔で「どうしていいか分からない」
と立ち尽くしているとき、
この4つのポイントのどれかひとつでも、
あなたとお子さまの心を守る防波堤になれば——
と願っています。

読んでくださったあなたへ

今日も、本当に、おつかれさまです。

「どうして私にだけ?」と感じる日があっていい。
真顔で乗り切る日があっていい。

それでもあなたは、十分すぎるほどがんばっています。

一緒に踏ん張っていきましょう🌸

親子の優しい時間が、毎日の中にそっと生まれますように🌈


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ABOUT ME
あすか
知的障がいを伴う自閉症の娘(4歳)を育てる、元看護師・当事者ママです。 1歳9ヶ月から療育を開始し、8ヶ所の療育機関を経験。娘の行動に「脳機能の視点」を持つようになってから、しんどさの中に少しの余裕が生まれました。 このブログでは、娘の実例をもとに「行動の意味と関わり方」を分かりやすくお伝えしています。 親子の優しい時間が、毎日の中にそっと生まれますように🌈