「どうして私にだけ?」
爆発するわが子を前に、真顔で乗り切る日々
「パパの前でも外でも、ふつうに過ごしているのに、
私の前ではすぐに爆発…」
知的障がいのある自閉症のわが子との毎日に、疲れ果てていませんか。
こんにちは、あすかです。
私は今、まさにその渦中にいます。
割と穏やかに過ごせる日もあれば、
一歩進むごとに「地雷」を踏まないかドキドキし、
まるで24時間、娘の監視下に置かれた奴隷のような気持ちで過ごす日も……。
一分一秒も休まることのない、
追い立てられるような時間…
そんな娘を前に、私は必死に笑顔を作ろうとします。
でも、心の中は悲鳴をあげていて…
鏡を見なくても、自分の笑顔が引きつっているのが自覚できて、
そんな自分に悲しくなります。
だから、私はあえて「真顔」でいることを選びました。
そうすることで、
今にも爆発しそうな自分の気持ちに抗っているのです。
「真顔」でこの瞬間を乗り切ること…
それが私にできる、精一杯の愛の防波堤なのです。
「どうして私にだけ?」
「どうしてこんなに苦しいの?」
そんな絶望の淵にいるあなたへ。
今回は、私が娘との日々で見つけた、
パニックを予防するための4つのポイントをまとめました。
(娘のその日の疲れ具合や感覚の不安定さなどから、
うまく機能しないことも、もちろんありますが…
一定の手応えは感じております。)
この「救急箱」のどれかひとつが、
あなたの、そしてお子さまの心を守る防波堤になれば……
と願っています。
「先手」でパニックを予防する:4つのポイント
①「口頭リスト」―情報過多のパニックを整理する
知的障がいを伴う自閉症の子どもたちは、
情報の処理に膨大なエネルギーを使っています。
パニックの渦中や、疲れが溜まっている時は特に、
私たちが良かれと思ってする説明は、
彼女らにとって「雑音」にしか聞こえていないのかもしれません。
そのような時、私は特に意識して「情報の断捨離」をします。
- 工夫:情報を削ぎ落とし、文章ではなく「数字と名詞」だけで伝える。
私がこの「情報の断捨離」の効果を痛感したのは、ある日の帰宅後のことでした。
玄関に入った途端、娘が「自転車行くー!!」と叫び始め、激しいパニックに。
私は必死に、落ち着いて説明しました。
「これから〇〇(療育施設の名前)に行くよ」
「〇〇が終わったら、自転車行こうね」
でも、娘は叫び続けます。
パニックの渦中にいる脳には、
文章としての情報の繋がりを処理する余裕がないのです。
そこで私は、あえて言葉を捨て、娘の目を見て、こう伝えました。
「①〇〇、②自転車」
たったこれだけです。
すると、あんなに激しかった叫びが、スッと静まりました。
混乱していた娘の脳内のデスクトップが、一瞬で整理整頓されたような感覚。
「あぁ、この子は今、情報の整理ができなくて苦しかっただけなんだ」
と、私自身もハッとさせられました。
これは一例にすぎません。
今では、口頭で「リスト」にして伝えることで、
娘の頭の中にスッと道筋が通るのをよく感じています。
② 私流:信頼が育む『待っててね』『行ったら楽しいよ〜』の魔法
一般的には、自閉症の子どもたちに「待っててね」
という曖昧な言葉は伝わりにくいと言われます。
先の見通しが立たず、不安を煽ってしまうからです。
でも、娘にはこの言葉が時に「魔法」のように機能します。
それは、娘が1歳の頃から積み上げてきた“信頼の貯金”
があるからだと思っています。
私のポリシーは、
「相手がたとえ赤ちゃんであっても、
人格を持った一人の人間として、誠実に向き合うこと」。
「どうせ言っても分からないでしょ」
「赤ちゃん(障がい児)だから伝わらないでしょ」……
そんな風に、「大人(他人)には決してしないような言動・行動」は、
娘に対してもしたくない気持ちが強くありました。
「待っててね」が通じる理由
たとえ言葉がまだ届いていないように見えても、
私は娘が1歳の頃から、以下のような伝え方をしてきました。
- 受容: 「〇〇がやりたいんだね」と、まずは気持ちを受け止める。
- 事実: 「でも、今はできないんだ。ごめんね」と事実を伝える。
- 見通し: 「△△が終わったらやろうね」と約束する。
- 結び: 「待っててねっ」と声をかける。
そして何より大切にしているのは、
たとえ本人が忘れていようと、必ず約束を守ることです。
その際は、
「お待たせ〜!待っててくれてありがとう。ママ、助かったよっ」と笑顔で伝え、
ハグや抱っこをセットにします。
「ママは、約束を破らない」
「待てば、良いことが起きる」
この安心感と成功体験の積み重ねが、
娘の中に「待つ」という強い力を育ててくれたと感じています。
「行ったら楽しいよ〜」という成功体験の積み重ね
もう一つの魔法は、
2歳の頃から使い続けている「(〇〇に)行ったら楽しいよ〜」という言葉です。
不安が強い娘にとって、新しい場所や集団生活は未知の恐怖。
だからこそ、私は笑顔で娘の目を見ながら、明るい声で、
この言葉を差し出し続けてきました。
「ママの言葉で、行くことができた」
「ママが楽しいよと言った場所へ行き、楽しかった」
という成功体験の積み重ねで、
「行ったら楽しいよ〜」の言葉に「安心」が宿ってきました。
今ではこの言葉が、
不安の霧を晴らして一歩前に踏み出すための、
娘にとっての「スイッチ」になっています。
最近では時折、自ら「行ったら楽しいよ〜」と口にして、
自分自身に活を入れている(自己調整している)娘の姿を見ると、
積み重ねてきた時間は決して無駄ではなかった、
と改めて実感しています。
③タイミングの配慮:娘の「心」を最優先する伝え方
一般的に、知的障がいを伴う自閉症の子どもたちには、
「早めに予告して見通しを立てる」ことが定石とされています。
でも、私は娘の状態を見極め、
あえて伝えるタイミングを選ぶようにしています。
なぜなら、娘にとって「早すぎる予告」は、
時に残酷な「不安の監禁」になってしまうかもしれないからです。
「不安」で過ごす時間を最小限にする
もし前夜から「明日は『先生見て見てー!お口あーん』(歯医者)だよ」と伝えて、
娘が不安で熟眠できなくなってしまったら……。
そこから本番までの時間は、娘にとって多動やこだわりが発動しやすくなる「苦しい時間」になってしまうかもしれません。
私の根幹には、常にこの思いがあります。
「どう行動させるか」より前に、
「どう安心して過ごせるか」を整えること。
だからこそ、
私は娘が「安心して過ごせる時間」を守るために、
予告のタイミングを模索しています。
成功体験に合わせた「段階的」な予告
もちろん、直前すぎても心の準備が間に合わず、
本番で崩れてしまうリスクがあります。
そこで、娘の成功体験や自信の程度に合わせて、
予告のタイミングを段階的に広げています。
- ステップ1: はじめは「家を出る直前」に伝える。
- ステップ2: 慣れてきたら「その日の朝」と「家を出る前」の2回。
- ステップ3: さらに自信がついたら「前夜」と「翌朝」と「直前」。
このように、少しずつ「見通しの距離」を伸ばしていきます。
※伝えるその瞬間の機嫌なども考慮に入れて、考えています。
予告のタイミングを調整することで、
娘が落ち着いて過ごせる一助になっていると感じています。
④「自分で選ぶ・貼る」視覚支援の力
わが家では、100均で購入した大きめのボードと、マグネット付きの絵カードを揃えています。娘自身、「今日の予定」の絵カードを貼るプロセスを楽しんでいます。
たとえば、
「今日は幼稚園に行って、〇〇(療育施設)に行きます」などと言いながら、
それぞれのカードを貼ります。
納得感と「発語」のスイッチ
この「自分で貼る」という動作には、驚くべき効果がありました。
- 納得感: 自分の手で貼ることで、「今日はこれなんだ」という見通しを自分のものとして受け入れられます。
- 発語の促進: やってみて分かったのですが、この「貼る」という物理的な動作が、娘にとって「言葉の表出(発語)」を引き出すスイッチになっています。
「やらされる」のではなく「自分で選んで」動かす。
その小さな達成感の積み重ねが、
心の安定につながり、
言葉を育む土台にもなっていると感じています。
一緒に踏ん張っていきましょう
ここまで読んでくださり、
本当にありがとうございます。
- 情報の断捨離(言葉を削る)
- 安心言葉の使用(安心が宿った言葉を使う)
- 伝えるタイミングの配慮(安心を保証する)
- 自分で選ぶ視覚支援(納得感を作る)
これをやったからといって、
現実はすぐには変わらないかもしれません。
でも、あなたも真顔で「どうしていいか分からない」と立ち尽くしている時、
この「救急箱」のどれかひとつが、
あなたの、そしてお子さまの心を守る防波堤になれば……
と願っています。
今日も、本当に、おつかれさまです。
明日も、踏ん張っていきましょう🌸
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子どもたちの行動の背景にある
「脳の働き」については、
看板記事
「自閉症×知的障がい」
行動理解のためにまず知ってほしい:
「4つの脳機能」の視点と希望
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